美しいピンク色の花と、丸い桃の実をつけてくれる花桃の木は、庭のシンボルツリーとして植えたくなるような魅力を持っていますよね。また「庭で桃を栽培して食べたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。しかし、花桃の木は「庭に植えてはいけない」と言われる一面もあることをご存じでしょうか。
私自身、これまで園芸関連の会社で勤務した経験があるため、その立場からお伝えすると、花桃の木は、取り扱いに注意が必要な、安易に庭に植えるべきではない木といえます。それは主に、花桃の特性に関わっており、花桃の庭での栽培を考えている人にぜひ知っておいてほしいポイントが多くあります。
そこで、この記事では、花桃を庭に植えてはいけない理由についてご紹介していきます。それに加えて、後半では、花桃を育てるコツについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
花桃を庭に植えてはいけない理由
花桃を庭に植えてはいけない理由としては6つの点がよく指摘されます。
- 大きくなり過ぎるから管理が大変
- 実は食用に向いてない
- 虫がたくさん寄ってくる
- 害虫に強くない
- 周囲に植物が育たなくなる
- 方角を間違えると風水的に良くない!?
では、それぞれの理由についてご紹介していきますね。
大きくなり過ぎるから管理が大変
花桃は、大きくなり過ぎて管理が大変になるため、庭に植えるべきではないと言われています。というのも、花桃は一般的に、樹高が5~8mにもなると言われているからです。
そして、たとえ小さな苗から植えたとしても、すぐに大きくなってしまうため、注意が必要なんです。ここで、ネット上にあった、実際に花桃を育てている方からの見解をご紹介させていただきます。
(花桃は)根が張りますから鉢植えが趣味の方でないと持て余すでしょう。 地植えした場合の大きさですが、花桃を伸ばし放題で育てることはせず毎年必ず剪定します。
引用元:知恵袋
やはり花桃は生育がいいため、毎年剪定をすることが必要だと述べています。また、中には「花桃が大きくならないように鉢植えで育てたらいいんじゃないか」と考える人がいるかもしれません。しかし、花桃は生育が早く根も張るため、鉢植えだと植え替えの手間がかかり、花桃にも負担がかかってしまいます。
このように、花桃は大きさをコントロールするのに手間がかかるため、植えない方がいいと言われているんです。
実は食用に向いていない
花桃は「桃」とついているから食べられるのでは、と期待する人もいるかもしれません。しかし、実はこの花桃の実は食用に向いていません。
というのも、実を食べられる桃は実桃と呼ばれる桃で、花桃は花を見るために改良された桃だからです。そのため、花桃の実は食べてもあまり美味しくないので、庭で桃を育てて食べたい人にとって、花桃は植えるべきではない木なんです。
ここで、ネット上に挙がっていた、花桃についての味の感想があったので、ご紹介させていただきます。
【営業担当 T君より】
おはようございます!
花桃にまさかの実がなりました。
柔らかく熟してきたので、味見!
香りはいいぞ!味は……めっちゃくちゃ不味い… pic.twitter.com/keGZQuMp8d
— アルゴ(介護事業@東久留米・朝霞・新座) (@argo_twinkeels) September 4, 2022
この方は、花桃の実を食べて、とても美味しくないと感じたようですね。この方のように、花桃は美味しくないと感じた人の意見がネット上にたくさん掲載されています。そういった点からも花桃を実をとるために植えることはあまりおすすめできないということができます。
虫がたくさん寄ってくる
花桃は、カイガラムシやアブラムシなどの害虫が発生しやすいため、庭に植えるべきではないとされています。カイガラムシもアブラムシも、細かい虫が大量に群れるため、それに庭木が覆われていると嫌な光景ですよね。ネットでも虫がたくさん寄ってきて困っているという人を見かけます。
花桃(ハナモモ)
桜よりも色が濃くて、綺麗だけに虫も沢山寄ってきます。#写真 #photo #写真好きな人と繋がりたい #写真で伝えたい私の世界 #写真撮ってる人と繋がりたい#ファインダー越しの私の世界#ハナモモ #花桃 #花#spring #flowers pic.twitter.com/dw8CFSL6Tw— haruobb@Photos (@haruobb) April 4, 2018
寄ってくる虫の中でも、特にカイガラムシは、一度発生すると根絶することが難しいんですよね。その場合、害虫対策の手間が欠かせず大変になってくるため、花桃を植える際には対策が必要になってきます。
病気に強くない
花桃は、灰星(ハイボシ)病や縮葉病、せん孔細菌病などの病気になりやすく、病気予防の薬剤散布や剪定などの管理が欠かせません。そのため、安易に植えるべきではないとされています。
特にせん孔細菌病は、葉っぱなどが変色し穴が空いたり、落果・落葉してしまう病気なのですが、薬だけでは防除できず、感染した葉っぱを手作業で取り除いてあげるなどの物理的な作業が必要になってきます。また、これらの病気は害虫が木に傷をつけたところから感染することがあるため、害虫駆除も同時に行わなければなりません。
このように、病害虫予防に手間がかかるため、花桃は安易に庭に植えるべきではないと言われているのです。
周囲に植物が育たなくなる
花桃を含めたモモ属の木は、根が青酸を発生させ周囲に植物が生えなくなるため、植えない方がいいと言われています。ここで、東邦大学のHPに掲載されていた、桃についてのコラムの一部をご紹介させていただきます。
桃はアミグダリン、プルナシンという青酸配糖体を合成している。これは果実や根に含まれており、土壌の微生物などによって分解されると毒性を発揮し、他の植物の発芽や成長を阻害する。桃は自分の領地を守るために、他の植物はもちろん、同じ仲間に対しても容赦しないのである。
引用元:東邦大学
これによると、桃は自分の周囲の栄養を守るため、周囲に植物が生えづらい環境を作っているということですね。
さらに、花桃を含めた桃の木は、忌地(いやち)現象と言って、以前、桃が植わっていた場所に桃を植え付けると枯れる現象が起きると言われています。これも、桃の木の根が発する毒によるものだと言われています。
このように、花桃を植えると、周囲に植物が生育しづらい環境となってしまうため、庭に植えることはあまりおすすめされていないのです。
方角を間違えると風水的に良くない!?
花桃を含めた桃の木は、植える方角によっては、風水的に良くない影響があるため、植えるべきではないとされています。具体的には、以下のような影響があると言われています。
- 西:貞操観念がなくなる、浮気をしやすくなる
- 東:足を患う
- 北:女難の相
- 南:大木だと家運が衰退する
- 北東・東南:吉(但し大木は凶運になる)
基本的に怖い意味ばかりで、吉の方位以外は植えるのが不安になってしまいますよね。このように、花桃は風水的に植える方角に意味があるので、風水を気にする方は注意が必要です。
花桃を育てるコツ
このように花桃は大きくなりすぎる点や、害虫が寄り付きやすいなどのデメリットの多い植物ではあります。ただ、コツを抑えることで、きれいに花を咲かせることができます。そこで、花桃を育てるコツや気をつけるべきポイントについてもお伝えしていきますね。
栽培環境/植え付け | 厳寒期を除いた時期に、日当たりと水はけの良い場所を選んで植えます。日陰だと枝が徒長して花が咲きづらくなる可能性があるので注意が必要です。また、強風が吹くと倒木する恐れがあるので、十分スペースのある場所に植え付けてください。鉢植えは、植え替えに手間がかかり、木にも負担がかかるためおすすめできません。 |
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水やり | 基本的に雨水で対応できます。ただし、夏場の乾燥に弱いので、夏季は頻繁にチェックして水やりをする必要があります。 |
肥料 | 落葉期に緩効性肥料を与えると良いでしょう。 |
病害虫対策 | カイガラムシとアブラムシ予防に薬剤散布や物理な除去を行うことをおすすめします。縮葉病、灰星病、せんこう細菌病などは薬剤散布と併せて感染部の除去を行ってください。 |
剪定 | 放っておくと大木になってしまうため注意が必要です。そのため毎年、木の大きさを制御するために、花後と落葉期に剪定をすると良いです。 |
まとめ
花桃には、病害虫に弱く栽培する上で管理に手間がかかる点があったり、周囲に植物が育ちにくくなるよう毒を生成するなどのちょっと厄介な特徴があります。また、少し怖いと思ってしまうような風水的な意味合いもありますよね。
しかし、花桃には「チャーミング」「気立ての良さ」「天下無敵」などのいい花言葉もあります。また、中国では災いを除き、福を招くとされるなどの縁起物として扱われたりするなどの、いいイメージもたくさん持つ植物です。そして何より、その美しい花は他の植物に負けない魅力を持っています。
デメリットの多い花桃も、対策を施しながら育てることでリスクを回避しながら育てることはできるので、ぜひこの記事を参考にしながら、素敵なお庭づくりを楽しんでみてください。
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