スターバックスは競争の激しいコーヒー業界の中でも、他のコーヒーショップと一線を画し好調を維持していますよね。その成功の理由の一つに、スターバックスがフランチャイズをしないで直営店方式にこだわっているというものがあります。
多くのコーヒーショップの会社がフランチャイズ方式を取っている一方で、スターバックスが直営店にこだわる理由とは一体何なのでしょうか?実は、そこにはスターバックスのブランド価値を最大限に高めるための秘策が隠されています。
そこで、この記事ではスターバックスが直営店方式にこだわる理由を徹底的に解説していきます。
スターバックスが直営店方式にこだわる理由
スターバックスは、自社で直接、店舗運営を行う直接運営方式を採用しています。その対極にあるのがフランチャイズですよね。フランチャイズとは、会社が自ら開発したブランドをパッケージ化し、加盟店がその営業ノウハウを実践しながらお店を経営していく方式です。
では、なぜ、スターバックスはフランチャイズではななく直営店方式にこだわるのでしょうか?その理由を一言で説明すると、
- 直営店方式の方がスターバックスが求めているブランドイメージを確立しやすいから
です。ただ、なぜこういう結論に行きつくのかについては、フランチャイズのデメリットから解説していく必要があります。
スターバックスがフランチャイズをしない理由
フランチャイズのメリットに関しては、まず本部側として、加盟店が土地や店舗を所有しているので、安く簡単に展開していけるという点が挙げられます。また、加盟店としては、ブランドを利用してお店を展開できるので、そのブランド力で利益を得やすいというメリットもあります。
それだけを考えると、フランチャイズの方が効率よく儲かりそうな感じがしますよね。しかし、フランチャイズ方式には、スターバックスにとってはかなり厄介なデメリットがあります。
フランチャイズだとブランド戦略にかなった出店ができない
フランチャイズだとサービスにばらつきが生まれやすいというデメリットもありますが、スターバックスの場合、もっと困った問題が発生します。
フランチャイズ形式だとフランチャイズの加盟店は、資金を自分で準備しているため、本部にとっては、その経営方式に対して、強く関与することができなくなります。さらに、フランチャイズの加盟店としては、お店で利益が出れば出るほど儲かるので、当然のように、
- 人通りの多い所へお店を出す
- 回転率を上げて収益を高める
という発想をします。これは、普通に考えれば、デメリットではないのですが、実は、この二つの発想は、スターバックスのブランド戦略に真っ向から対立しているのです。
スターバックスが目指すブランド戦略とは?
スターバックスが目指しているブランド戦略とは何でしょうか?それは
- ゆったりとしたくつろぎの空間で、極上のコーヒーを堪能する
ことです。しかし、もしスターバックスがフランチャイズ方式にしてしまうと加盟店の店長が、
- たくさんの客が訪れるよう、人通りの多い所に出店したらどうなるでしょうか?
- 客がたくさん入れるよう、テーブルと椅子を所狭しと店内に並べたらどうなるでしょうか?
- 回転率を上げるため、慌ただしい店内の雰囲気を作ったらどうなるでしょうか?
- 客単価を上げるため、コーヒー以外にもいろいろなサブメニューを売り出したらどうなるでしょうか?
- たくさんの客に対応するためスタッフがせかせかと動き出したらどうなるでしょうか?
ご想像の通り、スターバックスのブランドイメージは台無しとなってしまいます。
スターバックスが直営店方式で得られるメリット
そのため、スターバックスは思い切って直営店方式を取ることになったわけですが、そうすることによって次のようなメリットが生まれます。
ブランド戦略にかなった店舗運営ができる
スターバックスは直営店方式を採用することによって、ブランド戦略にかなった店舗運営ができるようになりました。具体的には、
- ちょっと人通りから外れたところに出店する
- 店内には、ゆったりできるテーブルや椅子を設置する
- いつまでもお店にいたくなるような雰囲気を作り出す
- コーヒーをメインでじっくり楽しんでもらえるようなメニューする
- スタッフは、目先の収益にこだわることなく、ゆったりと接客する
ことが可能になったわけです。直営店であれば、そこの店長やスタッフは、会社の方針に従ってこそ、ちゃんと給料がもらえるので、安心して、その方針に従えるようになりますからね。
直営店方式そのものが差別化になる
普通に考えれば、安い資金で店舗を増やせる方が良いですから、フランチャイズ方式を取りやすくなります。逆に、手間とお金が掛かる直営店方式には、なかなか手をが出しづらいものです。だから、スターバックスがいくら直営店方式で成功しているからといっても、なかなか直営店方式を真似ることができません。
そういう構造が出来れば、スターバックスのブランドは更に確立されていくわけです。ビジネスで成功するためには、いかにブランドを確立し、差別化を図ることができるのかという点がポイントになってきます。そういう差別化という点でもスターバックスは直営店方式を採用することによって大成功したのです。
まとめ
スターバックスが好調を維持している理由がお分かり頂けたでしょうか。スターバックスが取っている逆転の発想、そして、一つの方式から、様々な相乗効果が得られるよう設定された緻密な戦略、その成功事例から私たちが学ぶところは多いなと感じます。
フランチャイズだから良い、直営店方式だから良いという形だけにこだわるのではなく、そのやり方が、戦略の全体像の中のどこに位置し、どういう効果をもたしてくれるのか、その全体的な流れまでを考えていく発想が重要なのではないでしょうか。
目先のことや、形だけにとらわれるのではなく、全体像を考えながら、その中で、じっくりと戦略を考えていく時間が私たちにも必要なのかもしれません。
そのためにもスターバックスのゆったりとしたソファに座り、選び抜かれた豆を使用した極上のコーヒーの香りと味わいを味わいながら、3時間ぐらい、じっくり考えてみると、良い考えが浮かぶかもしれませんよ。
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