庭木として利用されることもある樒(しきみ)は、ハナノキやコウノキとも呼ばれる、白いお花がかわいい植物です。仏事によく使用されるため「彼岸の度に買うよりは、お庭に植えようかな」と、経済面を考えて栽培を考えている方もいるかもしれませんね。しかし樒は庭に植えてはいけないと言われる植物であるのをご存知でしょうか。
実は私自身、これまで農業法人に勤め、さまざまな植物を扱った経験があるのですが、その立場からすると、樒は「庭に植えてはいけない」と言われる植物の中でも特に、植えてはいけないと判断する特性がある植物です。その中には、人の命にも関わる特性もあるため、これから栽培を考えている方に加え、特に栽培は考えていないが樒についてよく知らないという方にもぜひ知っておいてもらいたい情報がいくつかあります。
そこで、この記事では、樒を庭に植えてはいけない理由についてご紹介していきます。ガーデニングだけでなく、今後身を守るためにも役立つ情報になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
樒(しきみ)を庭に植えてはいけない理由
かわいい花を咲かせ、仏事に使用されることで知られている樒ですが、庭に植えてはいけないとされる理由としては、以下の4つの点があげられます。
- 毒性が強い
- 名前の由来が悪しき実
- 縁起が悪い
- 花言葉が怖い
では、それぞれの理由について、詳しくご紹介していきますね。
毒性が強い
樒は非常に毒性が強い植物です。特に樒の実は、神経毒のアニサチンが多く含まれており、植物で唯一「毒物及び劇物取締法」の中で劇物に指定されているほど、毒性の強い実として有名です。そのため、安全面を考慮して、樒は庭に植えるべきではないとされているのです。ネット上にも、このような樒に関する見解があがっていました。
境内の樒(しきみ)の花が満開です。
樒とは香柴(こうしば)とも呼ばれ、また、梻(しきみ)とも書き、仏事に用いられます。
とてもかわいい白い花ですが・・・種子には猛毒、幹や花、葉にも毒もありますので生けた後は手洗い、そして子どもさんやペットが口にしないように気を付けてくださいね! pic.twitter.com/ZkLP3jhPmR
— 淨円寺@浄土真宗本願寺派 (@ube_joenji) March 18, 2021
この方のいう通り、樒が庭にあると仏事の時は便利ですが、ペットや小さい子供が口にしてしまう可能性を考えると、とても恐ろしいですよね。
動物も近寄らないほどの猛毒植物。
八角(トウシキミ)と見間違い誤飲の恐れが高い植物。
おう吐や下痢、痙攣、呼吸困難などの症状で、下手したら死に至る。名前の由来は『悪しき実→樒(しきみ)』 https://t.co/XpEmrWZphM
— HAL2000🌒 (@0002LAH) November 30, 2022
ここでは樒の実と「八角」などの名前で有名なトウシキミの実を比較した写真が掲載されています。どちらも同属に分類される植物の実なだけあって、とても似ていることがわかりますね。しかし、この方のいう通り、誤って樒の実を食べてしまうと、嘔吐や下痢、激しい痙攣などの症状が起こり、最悪死に至ることもあります。
また、「毒物及び劇物取締法」は、基本的に化学物質しか指定されていない法令なのですが、それでは「なぜ毒草として有名なトリカブトなどを差し置いて、樒が唯一の植物として指定されているんだ?」と考える方もいるかもしれませんね。
トリカブトは有毒な植物として有名であるために、口にする人は少ない植物です。しかし、樒はその有毒性があまり知られていないために、トリカブトより食中毒の被害が多いと言われています。そのため、何も知らずに庭に植えて被害が出てしまうことなどを避けるため、樒は劇物として指定されているのです。
このように樒は、国が法令で定めるほどの危険性を孕んでいるため、庭に植えるべきではないとされているのです。
名前の由来が悪しき実
樒という名前は、「悪しき実」の意味を持ち、果実の有毒性に由来していると言われています。このように、あまり良くないイメージの名前を持つため、庭に植えるべきではないとされているんです。ネット上でも、このような意見が投稿されていました。
先々週の土曜日に山から一枝持ち帰った深山樒。小さな硬い蕾が開いた。この白い花が開くと春だそう。ミヤマシキミ。悪しき実のアがとれてシキミ。かわいらしい花。有毒。 pic.twitter.com/nqV0D9HIvg
— naka_yoshi (@nakashimayo) February 23, 2022
こちらはミヤマシキミですが、有毒なため、樒と同様「悪しき実」が由来となっていると言われています。かわいいお花なので、一見「悪しき実」という由来の名前があるなんて思いませんよね。このように、名前に良くない印象があるため、庭に植える木としてふさわしくないとされています。
縁起が悪い
樒は、縁起が悪いイメージがあるため、植えるべきではないとされています。『園芸有毒植物図鑑』によると樒は
仏事に使用されるため、寺院や墓地に植えられます。特有の臭気があり、獣類が嫌い墓場を暴くのを防ぐため、墓前に挿した
引用元:土橋豊『園芸有毒植物図鑑』(2022)淡交社
とされています。このように、樒は昔から墓や仏事などで使用されてきた「死」のイメージがある植物のため、縁起が悪いから、庭に植えるべきではないとされています。しかし、その一方で、ネット上にこのような見解があがっていました。
(樒は)お寺で仏様や菩薩様に供えられる事もあります。 と言う訳で葬式に使われる事しか知らない人には縁起が良くない植物と思うんでしょうが、仏様や神棚にも使われる事を知っている人は気にしません。
引用元:知恵袋
この方によると樒は、神棚などに供えられることもある神聖な一面も持っているとのことです。そうすると、樒は一概には、縁起が悪い植物ということでもなさそうですね。
ただ、縁起が悪いという意見があるのも事実ではあるので、気になる方は庭に植えるのを控えた方が良いかもしれません。
花言葉が怖い
樒は「甘い誘惑」「猛毒」という花言葉を持っており、このような怖いイメージを持つ植物は庭木に向かないため、植えるべきではないとされています。「猛毒」に至っては、花言葉というより、もはや樒の特性自体の説明になっていますよね。
庭に植える木は、見たり触れ合ったりすることで癒される役割も持つものだと思います。しかし、花言葉まで怖い樒だと、癒されるどころか警戒してしまいそうなため、庭木にはあまりおすすめできない木だと言えるのです。
まとめ
花がかわいい樒ですが、有毒性やイメージの悪さなどのデメリットがいろいろあるため、植物が好きな人にとっても、安易に庭に植えることをおすすめできない植物です。特にその実の有毒性は、人間の生活圏に植えることで被害が発生させてしまう可能性があります。
しかし「どうしても育てたい!」と栽培を検討している方は、周囲に有毒性を周知しながら実の取り扱いに気をつけるなど、十分に対策をとりつつ、安全にお庭づくりを楽しんでみてください。
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