白色の絵の具は他の色を調整したり、波しぶきを描いたり、はたまた金属の一番光っている部分を表現したりする時など使いどころがたくさんありますよね。そのため絵の具セットでは白色が2本ついていたり、大きめのチューブになっていたりすることもあります。
それでもふとした時に白が足りない!全くない!ということもあります。そんな時に他の色を混ぜて、白色を作り出すことができたら便利ですよね。
そこで、この記事では、絵の具で他の色を混ぜる形での白色の作り方はあるのか、そもそも絵の具の白って何でできているのかなどをご紹介していきます。また私はカラーコーディネーターの資格を持っていることから、白にまつわる話なども併せてご紹介していきます。
白の作り方!絵の具でも作れる?
まず、結論からお伝えすると、
- 絵の具での白色の作り方はありません。
厳密に言うと、一般的な学校で使うような水彩絵の具やポスターカラーなどの絵の具では、他の色を混ぜ合わせて白色を作ることができないんですね。
なぜこのような含みを持たせた言い方をしたのかというと、絵の具ではないですが、マジックルミノペイントという顔料を使えば混色で白色を作り出すことが可能だからです。この顔料のグリーン、ブルー、レッドの三色を混ぜ、ブラックライトを当てると白に近い色になります。
この顔料は普通の電気の下では、塗った色がわかりませんが、ブラックライトを当てることで発光する特殊な顔料です。顔料が発行するので光の色を操るように着色することが可能なんですね。
しかし、学校で使うような普通の水彩絵の具で緑、青、赤では混ぜても絵の具が混ぜれば混ぜるほど暗く濁るといった性質を持っているため、濁った焦げ茶のようなねずみ色のような暗い色になってしまいます。
絵の具で白の代用をしたい時は?
ただ、学校などで白色を使いたいけど無いという時だと、先ほどのマジックルミノペイントを使用するというわけにもいきませんよね。では、絵の具の白を切らしてしまっているけど、どうしても白を使いたいという時はどうしたらいいのでしょうか。
まず、白にしたい部分の周りに濃い色を塗ります。そして、白にしたい部分に水で限りなく薄めて色みがあまり出ないようにします。もしくは白にしたい部分はあえて塗り残すという方法もあります。ただしこのやり方は画用紙が白である場合に限ります。
真っ白にしたい場合は、画用紙の白をそのまま残して白が目立たせるという方法があります。他の色を薄めて塗ると真っ白ではありませんが、色みが薄く白に近くなります。他の色との差をあまり出したくない、なじみ良くしたいなどコントラストを控えめにしたい場合に、この方法をお勧めします。
また、白の仲間として黄色みを帯びた「乳白色」、少しグレーの入った「象牙色」など近い色があります。これらを使うことで他の色ともなじみの良い、白っぽい色を表現することができます。
絵の具の白の原料とは?
白は絵の具の混色で作り出すのが難しいと言われると、そんな作るのが難しそうな白色の絵の具って、どんな原料で作られているのか気になる方もいらっしゃるかと思います。この点に関して、名古屋市科学館のHPには、
絵の具は、色を出す顔料と、アクリル、アラビアゴム、油や水などを使う目的によって選んで混ぜて液体にしたものです。
白の絵の具の顔料は、ハマグリなどの貝殻(炭酸カルシウム)や、酸化亜鉛、酸化チタンなどが使われます。
と書かれています。つまり、貝殻などで白色を出しているですね。
光での白色の作り方
絵の具の混色で白色を作ることはできませんが、光を使って白色を作ることは理論上可能です。
- 光の三原色である緑、赤、青の光が重なった部分が白になります。
光の三原色を簡単に作る方法として、懐中電灯などの光源にセロファンを貼り付け、緑、青、赤の光を作り出し、それを重ねるというやり方があります。この時、単ににセロファンを重ねるだけでは、絵の具と同じく減法混色となるので注意が必要です。あくまでも、セロファンを通した光を重ねるようにしてくださいね。
そもそも絵の具で白色を作れない理由は、絵の具を使った場合、減法混色と言って色を混ぜれば混ぜるほど暗くなり色も濁るからです。そのため理論上は絵の具の色を混ぜ合わせると黒色になります。理論上はと言ったのは、絵の具を全く同じ量ずつ混ぜるというのは極めて困難で、水なども含まれるので実際には黒に近い、濁った暗い色になるからです。
いっぽう光の場合は加法混色といって、混ぜれば混ぜるほど明るくなり最終的には白色になります。ということはインクなどの顔料を使う印刷物では、混色で白を作り出すのは難しいですが、パソコンやスマホのディスプレイは光を使って色を見ているため、混色で白色を作り出すことが可能と言えるんですね。
まとめ
絵の具での白の作り方は、残念ながらありません。ただし白色に「見せる」といった方法であれば、いろいろなやり方があります。白そのものの色がどうしても使いたいのか、薄い色や他の色との塗り分けで白っぽい色にしたいのかによって表現方法を使い分けるといいですね。
白は混色でもよく使われる色なので、ついつい切らしてしまいがちです。そんな時、白っぽさを表現できる方法があるというのを知っていると、絵の具が切れた時でも慌てずに済みます。ぜひご紹介したような方法で白を表現してみてください。
また、絵画ではありませんが光を使って白を作り出すのも面白いので、子供の夏休みの自由研究などで試してみるのもおすすめですよ。
>>絵の具を使った色の作り方一覧!混ぜ方のコツも分かりやすく解説
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