昔、子供の頃、ムーという雑誌でナスカの地上絵を見て「世の中にはこんなに不思議なものがあるんだな」と思ったことがあります。そして年を重ねて、改めてYouTubeなどでナスカの地上絵を見ていた時「そういえばナスカの地上絵ってなぜ消えないのかな?」という疑問が湧いてきたんですね。
ナスカの地上絵は紀元前200年~紀元後の800年のナスカ時代に描かれたものなので、歴史が古いものだと2000年以上もの間、地上に残り続けているわけです。考えれば考えるほど不思議な話ではないでしょうか。そこで、この記事ではナスカの地上絵はなぜ消えないのかという点ついて詳しく解説をしていきます。
ナスカの地上絵はなぜ消えない?
ナスカの地上絵はなぜ消えない理由としては以下の6つ点が挙げられます。
- 雨が降らないから
- 砂がほとんどないから
- 霧の水分で石膏成分が固まるから
- 気温が砂を防ぐから
- 動物が住んでいないから
- 人が守っているから
それでは一つずつ解説していきましょう。
雨が降らないから
ナスカの地上絵が消えない最大の理由は雨が降らないためだと言われています。ナスカの地上絵があるナスカ平原では、年間を通して4mmしか雨が降りません。そのため、この地域は木が1本も生えていない砂漠となっています。ナスカの地上絵に近いところを流れるペルー海流は強い寒流なので、湿気を帯びた上昇気流が作られないため、雨が降りにくい構造になっているとのことです。
一般的に砂漠気候という呼ばれる条件は、年降水量が250mm未満となっています。その基準を遥かに下回っていることからも、ナスカの地上絵がある付近がいかに降水量が少ないかがお分かりいただけるのではないでしょうか。
そのため、雨によって地上絵が浸食されて消えてしまうということがないんですね。
砂がほとんどないから
ただ、砂漠と聞くと、砂漠は砂でできているので、絵を描いてもすぐに消えてしまうのではないかと思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、実は、ナスカの地上絵がある地域には砂がほとんどありません。そのため、ナスカの地上絵が砂によって埋もれるということが起こらないのです。
この点に関しては知恵袋で専門的に解説している方がいらっしゃったので、ご紹介していきます。
もともと礫質で砂がないうえに、赤色風化殻という砂漠特有のFeやAl成分の殻のようなものが覆っていて移動を妨げているからです。
地上絵は、この赤黒い風化殻を取りのぞいて、下にある白色のシルト層を露出させているのです。
この白い層も硬く固結しているので、砂やほこりが少ないのです。引用元:知恵袋
ナスカの地上絵があるナスカの平原には、石膏に近い成分からできた地面の上に、黒い小石が全体的に覆っている構造になっています。そして、地上絵を描く際は、この黒い石をどかして、その下にある石膏のような白い地表を露わにして線にしているという構造になっています。こういう構造がナスカの地上絵が消えない一因になっているわけです。
霧の水分で石膏成分が固まるから
実は、ナスカ平原にある石膏に近い成分の地層は砂からできていると指摘する人もいます。ただ、この石膏のような部分は砂といっても実は固いのです。その理由は霧のためです。ナスカ平原には、ペルー海流によって生まれた霧が入り込んできます。そして石膏の成分には硫酸カルシウムが含まれているのですが、細かい霧がこの硫酸カルシウムに加わることによって強度を増しているというんですね。
また、この地域は砂漠ということもあり、日が暮れると10℃以下になるため、線の部分をさらに固くしてくれるというのです。
気温が砂を防ぐから
ナスカの地上絵が消えない要因としては、その地域の気温も影響していると言われています。ナスカの地上絵がある地域は25℃~30℃ぐらいになりますが、それによって地面が熱くなります。
それによって、地表から1mぐらいのところに暖かい空気層ができるのですが、それが砂が風によって運ばれないようバリアのような構造になっているというのです。
動物が住んでいないから
ナスカの地上絵が描かれているナスカ平原は、雨がほとんど降らない砂漠地帯なので、木や草がありません。当然のことながら動物も生息はしていません。そのため、動物が歩き回ることによってナスカの地上絵が消えてしまうということが、ずっと起こらなかったのです。
ナスカの地上絵の中には、ハチドリ、犬、オウム、ペリカン、サル、そしてネコなどの動物の絵が描かれていますが、絵が描かれているところ自体には動物がいなかったというわけです。
人が守っているから
20世紀に入ってナスカの地上絵が世界中に知られるようになると、観光客が押し寄せたり、道路を建設したりしてナスカの地上絵が破壊されるケースも増えてきました。
そういった中で、人が直接、ナスカの地上絵を保護しようという動きも出ています。その中でも有名ななのは、マリア・ライヘという考古学者です。彼女はナスカの地上絵を国際的に知らしめることにも成功した人ですが、ナスカの地上絵の保護活動にも尽力した方です。
彼女の活躍によって、ナスカの地上絵は1994年に「ナスカとフマナ平原の地上絵」という名称で世界遺産に登録されます。(2016年に「ナスカとパルパの地上絵」と名称変更される) その結果、ナスカの地上絵を保護しようとする動きはさらに強くなっているのです。
ナスカの地上絵がある地域は、特別な条件が重なって奇跡的に地上絵が消えない状態が続いてきました。しかし、最近は温暖化の影響もあり、降水量が増えているため、ナスカの地上絵が消えるような現象が起きています。ですから、ナスカの地上へは自然に任せるだけでもなく、今後、ナスカの地上絵を守ろうとする人々の活動も重要になってきていると言えます。
まとめ
ナスカの地上絵は2000年以上の歴史があるのに、なぜ消えないのかということは、よくよく考えてみれば、とても不思議なことだと思います。そして、その謎を探っていくと、そこにはいくつもの自然条件が重なっており、まさに奇跡の連続によって、今の状態が維持されていることがよく分かります。
ただ、そんなナスカの地上絵も現代の環境の変化によって、奇跡のバランスが崩れ、放置しているだけでは現状維持が難しくなっているところもあります。ナスカの地上絵は私たち人類が、先人たちから受け継いできた宝です。ですから、そういった歴史的な遺産を大切に守りながら、後世に受け継いでいく流れが続いていけば良いですよね。
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