青函トンネルはなぜ車が通れるようにしないの?4つの理由を徹底解説

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青函トンネルは車で通ることが出来ないかと考えている方もいらっしゃるかもしれません。せっかくトンネルがあるのだから車で一気に青森から函館まで行ければ、かなり楽になるところですよね。しかし、残念ながら、現在、青函トンネルは車で通ることができません。

ただ、そのように言われても、なかなか納得できない方も多いのではないでしょうか?実際、車を通れるようにしたら、もっと交通が便利になって、経済的な効果も見込めるはずですよね。けれども、そこには、なかなか難しい問題があるのです。

そこで、この記事では、青函トンネルはなぜ車が通れるようにしないのか、その理由について徹底的に解説すると共に、現在の車での移動方法や今後の夢のある計画についても解説していきます。

次郎
次郎
青函トンネルを車で一気に通過できたら便利なんだけどなあ。

青函トンネルはなぜ車が通れるようにしないの?


青函トンネルはなぜ車が通れるようにしないのかという点については、以下の4つの理由が挙げられています。

  • 事故の発生リスク
  • 事故が起こった時のリスク
  • 建設過程の問題
  • 湿度の問題

では、それぞれの理由について、詳しく解説をしていきますね。

事故のリスクが高くなる

まず、問題になってくるのは事故です。青函トンネルの長さは54kmです。それだけの距離があったら、事故が起こる可能性は高くなります。これは想像してみると容易に分かってくるものです。景色を一切楽しむことができない真っすぐのトンネルの中を54kmひたすら走り続けると考えてみてください。それだけの単調なドライブが続くと、途中で眠たくなってしまう可能性は高いですよね。

もちろん、自動運転の技術が進めば、そのような問題も解決されてくるかもしれません。しかし、現時点では、まだリスクが高いというのが実情です。

事故が起こった時の対応が大変

事故が起こるリスクも怖いですが、もっと深刻な問題があります。それは、事故が起こった時の対応です。例えば、青函トンネルのど真ん中で事故が起こって火事になったとしましょう。まず、事故現場まで行くのが本当に大変です。さらに、仮に事故現場まで行けたとしても、そこで汚れてしまった空気をどうやって排出するかという問題も出てきます。

事故の規模によっては、当然、通行止めをせざるを得なくなってくるでしょう。距離が長い分、事故の対応にかかる時間、そして通行止めの時間もかなり長くなるはずです。そうなった場合の経済的な損失は計りしれません。

そういったリスクを考えた場合、青函トンネルを車で通れるようにするのは賢明ではないと考えるのも、ある意味、当然のことでしょう。

花子
花子
想像をするだけでも怖い話よねえ。

青函トンネルの建設過程の問題

青函トンネル
青函トンネルを車が通れるようにしなかった理由として、青函トンネルができた背景について指摘する人もいます。青函トンネルの建設は鉄道を管轄する運輸省(現在の国土交通省)によって進められました。その一方で、当時、道路を管轄していたのは建設省だったんですね。

現在は、運輸省も建設省も国土交通省として統合されましたが、青函トンネルを建設していた頃は、鉄道と道路の管轄省庁が分かれていたので、車を通れるようにするための構想が外れてしまったったのは、ある意味、当然の流れでもあったわけです。ここら辺は縦割り行政の弊害だったとも言えます。

湿度の問題

青函トンネルを通れない理由の一つとして湿度の問題も挙げられます。実は、青函トンネルの内部は、湿度がものすごく高いです。JR北海道の公式HPには青函トンネル内の温度は約20度ですが、湿度は約80%あると書かれています。

そのような事情から、青函トンネルを通過する車両は、高い湿度に耐えることができるものでなければならないことが運輸省(現在の国土交通省)の省令で定められています。そこで、火災事故防止のための防災基準が設けられているため、内燃機関を用いる車両はトンネルを通過できません。現在の車は基本的に内燃機関を使ったガソリン車ですから、湿度の観点からも青函トンネルの中を走ることはできないのです。

青函トンネルで車が通れない場合の対処法

では、青函トンネルを車で通れない場合、どうやって津軽海峡を渡っていけば良いのでしょうか。

フェリーで車を運ぶ


現在、車で津軽海峡で渡ろうとしたら、フェリーで運ぶしかありません。青函フェリーの場合の輸送料金は以下のようになっています。

車両の長さ 10~12月 基本運賃
6m以上 7m未満 36,670円(+7,090円) 29,580円
7m以上 8m未満 41,720円(+8,070円) 33,650円
8m以上 9m未満 46,770円(+9,050円) 37,720円
9m以上 10m未満 54,820円(+10,610円) 44,210円
10m以上 11m未満 60,420円(+11,690円) 48,730円
11m以上 12m未満 65880円(+12750円) 53130円

10月~12月は、燃料油価格変動調整金ということで24%料金が高くなっています。また、ここでの料金は今後変わる可能性もあるので、詳しくは青函フェリーの公式HPをご覧ください。

ちなみに、フェリーを使って青森から函館に行くまでの所要時間は4時間弱となっています。一方、青函トンネルを新幹線で通過するための所要時間は約25分です。新幹線は時速約140kmで通過するので、車の場合だと、そこまでのスピードは出せませんが、それでも「青函トンネルの中を車で駆け抜けることができればなあ。」と思うのは私だけではないと思います。

幻となったカートレイン構想

実は、青函トンネルでは、昔、車を列車に載せて走るカートレイン構想というものがありました。トラックやバスは対象外になりますが、乗用車であればカートレインに載せて一気に通過するという素晴らしい計画があったんですね。しかし、この計画は結局、幻となってしまいました。その理由としては、

  • フェリーに対する補償問題
  • 道路整備の財源問題
  • ダイヤが複雑化する問題

などがあったと言われています。カートレイン構想が出てきたのは、JRとして民営化される前の国鉄時代でした。そのため、カートレイン構想が出てきた時、フェリーを運航する海運会社から、民業を圧迫すると猛反対があったとのことです。

さらに、国鉄時代の末期は経営的にも行き詰っていたため、予算的にもカートレイン構想どころではなくってしまったというわけです。

世界最長の海底トンネルでは?
中国では、遼寧半島の大連市と山東半島の煙台市を世界最長の海底トンネルの建設が予定されています。
その距離、全長123キロメートル。青函トンネルは54キロメートルですから、なんとその2倍です。ただ、本当にちゃんと出来るかなあと少し心配ではありますが… また、世界最長になる予定のトンネルでも、車は列車に積んで運ぶとのこと。やっぱりその方が無難ですよね。

第2青函トンネルで車が通れるようになるかも

しかし、その一方で、青函トンネルを車で通れるようになりたいという人にとって、希望となるような計画が出てきています。それが、第2青函トンネルのプロジェクトです。これは簡単に言うと、現在の青函トンネルとは別に車、バス、トラックが通れるようにするためのトンネルを新設するという計画です。

第2青函トンネル計画の詳細については、北海道建設新聞社の記事に詳しく書かれています。ただ、このプロジェクトは、まだ計画だけで、建設や開業までの具体的なスケジュールは、決まっていない状況です。実際、このプロジェクトを実現するには、上記のような様々な問題を克服する必要があるため、簡単ではないと思います。ただ、プロジェクトが成功さえすれば、一気に利便性は高まりますし、経済的効果も見込めますよね。

太郎
太郎
僕は日本人の底力を信じているよ。

まとめ

青函トンネルは現段階では、車が通れるようにはなっていません。やはり、事故が起こった場合のことを考えると、簡単ではないようにも思われます。しかし、技術の進歩は、今まで不可能であったことを次々の実現してきました。

今回、最後にご紹介した第2青函トンネル計画も、青函トンネルで車が通れないのは不便だという声が高まる中で出てきたものです。「必要は発明の母」とも言われますが、このようなニーズがある限り、技術はさらに進歩していくことでしょう。近い将来、青函トンネルを車を使ってビュンビュン走り抜ける時代が来ることを心から願っています。

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