中東の対立と言えば、イスラエルVSアラブ(イスラム教)という対立構造もあれば、イスラム教の中でも、シーア派VSスンニ派という対立構造もあります。
ところでシーア派とスンニ派は、同じイスラム教なのになぜ、お互いに戦っているのでしょうか?
また、よくIS(自称イスラム国)も含めて、過激派と呼ばれる人達をニュースで見かけますが、彼らはどちらの派に属しているのでしょうか?
ここでは、スンニ派とシーア派の違いや過激派についてまとめてみました。
後継者に対する考え方の違い
シーア派とスンニ派が分かれた原因はイスラム教を作ったムハンマドが後継者を決めずに、この世を去ってしまったことでした。
後継者を選ぼうとする中で、
シーア派:「ムハンマドの血統を継ぐものを後継者だ!」
スンニ派:「ムハンマドが作った慣行(スンナ)を元に後継者を決めるべきだ!」
という考え方の違いから対立し、二つの勢力に分かれてしまったわけです。
(本当は、もう一つのグループがありましたが、すぐ消滅してしまいました)
勢力分布の違い
次に勢力の分布から見た、スンニ派とシーア派の違いについて解説をしていきます。
イスラム教徒は、世界に16億人いますが、そのうちの9割はスンニ派です。
スンニ派は中東だけでなく、北アフリカ、東南アジア、中央アジアとかなり広い地域に分布しています。
一方、シーア派は世界的にはスンニ派に圧倒されていますが、イスラムではスンニ派を上回っている地域もあります。
例えば、イランではシーア派が主流です。
また、イラクは50%がシーア派ですが、45%はスンニ派となっており、対立しやすい構図になっています。
さらに、イラクでは、スンニ派の中でも、アラブ人スンニ派とクルド人スンニ派に分かれていて、お互いに仲が悪いという、かなり複雑な構造になっています。
対立の原因
スンニ派とシーア派の思想を見てみると、スンニ派では、慣行(スンナ)を重視するけれども、シーア派は、スンナの内容自体が、その時の指導者(イマーム)によって解釈が変わって来てしまうという違いがあります。
そういった経緯もあり、基本的にスンニ派の教義の中で、シーア派は異端とされています。
ただ、教義的な違い以上に、今までの歴史的な経緯で対立してしまった要因の方が大きいようです。
シーア派の勢力が大きい地域は、なぜか石油資源が豊富だったりするのですが、それがきっかけで、スンニ派と対立してしまったり・・・
また、イラクでは、フセインの時代はフセインがスンニ派で、彼はシーア派を弾圧しました。
しかし、フセイン政権が倒れた後は、アメリカがシーア派を中心とした政権を樹立しましたが、アメリカ軍が撤退した後は、スンニ派が逆襲するという構造になっています。
やっぱり、一方が他方を支配したら、対立してしまいますし、おいしい利権があれば、それを奪い合おうとするのが、人間の性ですからね・・・
過激派なのはスンニ派?シーア派?
よく新聞やテレビのニュースなどで、イスラム原理主義者とかイスラム過激派とか言われています。
では、この過激派と言われる人たちは、シーア派とスンニ派、どちらに属しているのでしょうか?
実は、どちらにも過激派はいます。
シーア派もスンニ派も、なかでまたいくつかの派(グループ)に分かれて、その中でも穏健派と過激派に分かれるからです。
ちなみに、イラクからアメリカ軍が撤退した後、イラクで勢力を拡大しているのは、スンニ派の過激派です。
そして、そういったスンニ派の過激派が打ち立てた国がIS(自称イスラム国)です。
中東の情勢は、実際、本当に複雑です。
いろいろな宗教的考え方が、入り混じってしまっていて、
たまたま石油資源が豊富なので、様々な利権も絡んでしまって、
アメリカもやってきたら、さらに混乱してしまって、
というのが、基本的な構造のような感じがします。
早く中東に平和な時代が訪れたらいいですよね。
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