北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)体制で実質ナンバー2であった張成沢(チャン・ソンテク)が粛清、そして処刑されたことが、世界中に衝撃を与えています。
そこで、朝鮮労働党など、北朝鮮の組織体制がどうなっているか、また、金正恩や張成沢は、どういう役職にあるのか(あったのか)簡単にまとめてみました。
北朝鮮の権力構造の三本柱
まず、今回説明することを簡単に図にまとめるとこんな感じになります。
北朝鮮の国家組織は、朝鮮労働党、国防委員会、そして朝鮮人民軍からなる三つの柱で構成されています。
その中でも、大きな勢力を持っているのが、朝鮮労働党です。
朝鮮労働党
北朝鮮の憲法では、朝鮮労働党が国家の行政機構より上位であることが明記されているため、北朝鮮は実質、朝鮮労働党の一党独裁体制となっています。
国防委員会
国防委員会は、国家主権の最高軍事指導機関であり、かつ国防管理機関となっており、その下に人民武力部があります。
朝鮮人民軍
北朝鮮の軍隊に相当するのが、朝鮮人民軍で、陸軍、海軍、空軍から編成されています。
制度上は、朝鮮労働党の指導を受けるとされていますが、形骸化しているという指摘もあります。
金正恩と張成沢、それぞれの立場
元々、金正日が、
朝鮮労働党の総書記
国防委員会の委員長
朝鮮人民軍の最高司令官
と3つの柱のそれぞれのトップに立っていました。
そして、金正日亡き後は、金正恩が、朝鮮労働党では、第一書記(総書記は、金正日が死後も永世総書記となる)となりました。
しかし、残りの2つの柱では、金正日が担っていた役職をそのまま継承しました。
一方、張成沢は、どういう立場だったのかと言いますと、まず金正日の義弟(妹の夫)であり、金正恩にとっては叔父の立場にあります。
政治的には、
朝鮮労働党では、中央委員会政治局員
国防委員会では、副委員長
朝鮮人民軍においては大将
であり、さらに張成沢は、金正恩の後見人的立場もあり、金正恩体制の実質的なナンバー2に位置にしました。
しかし、今回の突然の粛清と処刑・・・
張成沢が今回処刑された理由として、
クーデーターを画策した
2009年のデノミネーションで失敗した
権力を乱用した
不正行為や汚職に手を染めた
などなどが挙げられていますが、自分の親類であり、側近中の側近として、歩んできた張成沢を処刑したことに対して、波紋が広がっています。
私は、韓国に住んでいますが、そこでも、かなり長い時間を割いて、今回のニュースを取り上げ、しょっちゅうチャニンハダ(残忍だ)という言葉が使われています。
私は、ジャーナリストではないので、詳しいことは語れませんが、一つ言えることは、「人はやったようにやられる」ということです。
人に対して、良いことをすれば、その人からでなくても、別の人からそのような扱いを受けるようになります。
そして、悪いことをすれば、同じようなことを他の人から受けるようになります。
良くも悪くも、世の中はそのように動いています。
今回の張成沢の衝撃的な最期を見ながら、同時に金正恩の将来も垣間見てしまったような感じが個人的にはしています。
韓国と北朝鮮の国境近くで見つけたある看板
つい先日も私は、韓国と北朝鮮の国境線上近くまで行ってきましたが、そこにある看板がありました。
それを見るとこんなことが書いてありました。
訳してみると、このように書いてあります。
警告
この地域は、軍事作戦地域として、民間人の出入り統制区域です。
無断接近時は、敵または不純分子とし誤認され、射殺されうるので、接近を禁じる陸軍第2258部隊長
この国の戦争は、まだ終わっていない(実質、休戦状態)というのを実感した瞬間でもありました。
日本はいつ地震が襲ってくるか分からないという緊張感がありますが、
韓国はいつ北朝鮮が襲ってくるか分からないという緊張感があります。
やっぱり世界どこにいっても何らしかのリスクってあるものですよね。
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